1月 182015
 

2015年 センター試験
現代文の解説(2015/1/18/PM14更新)

消去法やテクニックではなく,きっちりと本文を読み切るという視点にたって,解説(速報,読解の箇所限定)してみます。参考書等の解説とはひと味違うかもしれませんが,西荻塾で身につけてほしい読解力の一部ご紹介を兼ねて(あと,全国NO1のスピード公開です(当社比・どうでもいいですね))。

第1問(佐々木敦「未知との遭遇」)
問1 省略(漢字)
問2

本文の読解
「教えて君」=教えてもらう君∈啓蒙される側,「教えてあげる君」=リプライ君∈啓蒙する側
傍線部Aの直後の3文「自分より知識や情報を持っていない方に向かうよりも,自分が知らないことを新たに知ることができる方向に向かっていったほうがいい」「啓蒙するよりも啓蒙される側に回ったほうが,自分にとっては利がある」
にもかかわらず,「教えてあげる君」がはびこると,傍線部Aの3〜4行前「両者が一緒になって川が下流に流れ落ちるように,よりものを知らない人へ・・・と向かってしまう・・・ナンセンス」な状況になってしまうから,である(傍線部Aの直前にだから,とあるので,理由が前にあることも気づきたい)。
そして,「両者が一緒になって」とは,すなわち両者含めた「社会」がということである。よって,この点をすべて矛盾なくそろえた選択肢は③のみ。他の選択肢は,どれも,後半部において「社会」について論じ切れておらず,不適当と解される。
(他にも,もちろん消去法で細々とツッコミを入れればキリはないが,ここではやめます。授業では訓練のため検討しますけれど。以下同じ)

問3 

本文の読解
傍線部Bに「これ」があるので,基本通り,指示語を把握:「過去に前例がある」ので「新しいメロディがなかなか出てこない」。人類全体からすると,「過去に前例があること」すなわち「過去にすばらしいメロディが数多く紡ぎ出された」ということは「よいこと」なのだが,「音楽家」に「とって」は困ったこと・・・「自分で考えた」い(5段落傍線部B直後),「独創」したい(6段落参照)のに・・・。ということである(解答は②である)。

 音楽家がそういうことを「したい」とか「期待されている」かどうかははっきりと示してあるわけではないが,5段落,6段落において「自分で考えた」「独創した」はずが似通っていてショック,ということを論じていることからすれば,ショックを受けるのは,「欲している」「期待されている」からと考えて矛盾はない,と解すべきである。
他の選択肢は,音楽家についての記述がずいぶんと「独創」的なものが多いですね(笑)。その後,音楽家が取り組むべき所作についてもずいぶんと「独創」的で。

問4 

本文の読解
8段落:我々は,「歴史」と呼ばれる時間があると考えるが,ネット以後そういった「歴史」を「圧縮したり編集したりしやすくなった」いや「それがどんどん勝手に起きてhしまう」そうすると,「時間軸を抜きに」するようになる=「マス=塊」としてとらえるようになった。
圧縮したり編集したら,時間の「流れ」はどんどん「池」みたいになるよね,と考えてみればわかるでしょう。
9段落:そもそも「歴史」とは,「物語」=因果性として記述されてきたし,読まれてきた(確かに実証的には批判もあるがさておき)。なぜそういうストーリー=因果性になるかといえば,「時間が介在」するからである。(9段落は,かぎかっこのついた「歴史」についてのそもそも論である)

あとは,設問に答えましょう。
8段落で,ネット以後において,「歴史」が時間軸を失いつつある=時間の介在を前提(成立の基礎とする)とする「物語」=因果性もともに崩壊する,ということである。10段落目の傍線部以後は,それを受けて,ネット以後は,歴史をマスにとらえ,マスの隙間をモザイク状に埋めるという9段落とは違ったとらえ方が一般的になった。
丁寧に選択肢を見る必要があるでしょう。選択肢①〜③は上記から「即切り」ですが,④と⑤はざっと見た感じ残る。最後に,⑤の「時間的な前後関係や因果関係を超えて結びつく過去と現在のつながりを歴史ととらえる」というのは不適切であることを見抜いて,解答④を残しましょう。
 ※迷ったら,最後は選択肢を見比べてみましょう。きっと「ありえない」何かが見えます。

問5

「この文章全体を踏まえ」る必要がありますが,本文の流れは次の通りである(そのような設問は今年は消えた)。僭越ではございますが・・・ざっくりと。
1段落「啓蒙するよりされる側がいい」(社会全体が)「自分がまだ知らないことを新たに知る方向に向かって」いくべきと思うんです。(テーマの提示)
2段落〜5段落 でも,なかなか新しいものってないですよね。過去に前例あることも多いし。(現状把握)
6段落 独創だと思っていて,そうでなかったとき,ショックです。でも,一方で,敢えて「知らないからいいや」とばかりに「盗作」して利益を得る輩がいる。それを見破るには受け手に「リテラシー」の担保が要求されますよ。(リテラシーの欠缺による問題を示唆)
7段落 なぜ,こういう盗作勝ち抜け的な問題が生まれてくるのかな?それは,多様な事物があふれかえって,過去と呼ばれる時間の枠組みに事物があふれかえるようになった。そこで,時間の流れを別にして,多様性を「マス」としてとらえてしまうようになる。(問題へとじりじりと・・・)
8段落〜10段落 マスとしてとらえる=時間軸を歴史から抜くことになるが,それは歴史を崩壊させる(問4参照)。それがスタンダードになってしまう。そうすると,歴史によるリテラシー形成の機会を失うことになる。(問題へ迫る!ここが問題なんだ!)
11段落 さきほど述べた盗作勝ち抜け的問題に対処するにはリテラシーが必要だといったが,こうしたリテラシー欠缺の現状からすると,リテラシーの啓蒙が必要かも。しかし,私は啓蒙は他の人に任せて,「未知との遭遇」を刺激してあげたい。それでもなお,受け手のリテラシーを推量せざるを得ないわけで,難しいですね。(テーマに対する筆者の姿勢を示して結語)

実際,この問題を解く上ではここまでは不要(不要じゃないと言いたいが,そこまでしなくていい,いやしてほしい。難しいですね)です。筆者は,啓蒙することは他の人に任せたいと言っていますので,それだけで選択肢②が浮き上がってくる。が,一応上記の流れからすれば,②は矛盾がありません。

問6 表現に関する問題(省略)

 

感想:当塾で高得点をたたき出した諸君が多かったが,きわめて素直な出題(いや,それが一番。正確な読解力が測れるすばらしい問題)でした。テーマも,非常に現代的ですし,久々に楽しい問題でした(「ネット」のお話で申し訳ないのですが,出題直後から,クソリプ・パクツイが一人歩き(メディアにまで取り上げられてる)していますが,「それだけ」の是非が一人歩きしはじめているのが残念ですね。確かに,クソリプ・パクツイしてることがよろしくないとされるのは,本文からもそういえるのですが,本文の流れを無視してすごく表面的な理解をしている記事が多数であると思えてしかたがないのですが,正しくものを読もうとするリテラシー?姿勢?の問題でしょうか?←偉そうにすみません)。

以上,現代文と数学を担当する講師Aがお送りしました。

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