大学受験が絶好の機会である【論考】
毎年,受験生に向けたメッセージを配布しています(詳しくは,当塾の理念のページにPDFで原稿を掲載しています)。
その要約を以下に示し,当塾の大学受験に対する考え方をお伝えしようと思います。
今や全生物の頂点に立つヒト(語弊はさておき)でさえ,決して順風満帆ではなかったはずです。環境の変化と伍していくために,ヒトは知能を用いて対応してきました。知能を駆使して自然界を学び,その結果は,ときに直接的に実利に結びつきました。もっとも,すべての学びが実利的だったかというと,個別的に見て,ほとんど生活上「意味がなく」,その日を暮らすことに精一杯だった庶民達の目に触れることがなかったものが多かったのも事実です。
しかし,こうした学びの試行は積み重なって体系化し,結実して我々の生活を徐々に変革させます。その結果文明が誕生し,ヒトから「人」へと現在の繁栄につながったのです。人は,こうした事実を経験則として黎明期から気づいていたからこそ,人は常に学び続けてきたのです。どんな時代であっても,どんな人間であっても辛いよりも楽な方がいいに決まっていますが,そこをあえて辛い学びを積み重ね,学問という形に仕上げてきたのは,外界の変化に適応するという生物本来の本能がそう突き動かしてきたのかもしれません。
このような人類学的な学びの意義を考えたとき,「受験で試したいのは何か。」という問いに一つの結論を導くことができます。それは,学びのプロセス,センスやヒラメキだとかではない,まさにそこまでの過程を一つ一つ積み重ねてきたかどうかを試したいのです。
学びのプロセスを大事に積み重ねてきた者は,積み重ねてきた学びのフレームワークを通して今後も学びのプロセスを継続していきます。常に訪れる社会情勢・自然的諸要因の変化や,嗜好の変化など,さまざまな「変化」に晒されるなかで,いかに科学的貢献を図るか,地球環境問題へのアプローチやいかに,難病完治へ向けた地道な臨床研究とはいかにあるべきか,どのような政策を用いて社会厚生を改善するか,いかなる法政策が基本的人権の尊重に資するか,そもそも人間とは何であろう・・・数え上げればきりがありませんが,いずれ諸君が大学各学部に進学した上で接するであろう,こうした崇高な目的に果敢にチャレンジする人は不断に学び続けています。こうしたことは,学問的分野に限ったことでないことは承知の通りです。「その」道で成功をおさめた人物は,現状に満足することなく,つねに何らかの形で学びを継続しています。
君は,これからずっと学び続けることができるか。
大学受験を通して,学ぶ基礎体力を涵養していただきたい。どうか,まっすぐに,ひたむきに。
当塾の役割は,それをいかに合格に直結させて,さらなる学びの場へ君たちを送り出せるか,そこに尽きます。