天高く,馬肥ゆる秋(復習の重要性について)

一雨ごとに季節の急激な移り変わりを実感するとともに,半袖で出講する伊藤講師を見ながら,どこまでこのお方はストイックなのかと苦笑する日々です。私の一つの趣味である馬を見ることも,いよいよ東京開催が間近となり,わくわくしているところです。

表題に関係する内容はここまでで,さて,9月上旬に西荻塾オープンテストを行い,採点直後のほかほかのデータとともに,生徒個人面談および保護者様を対象とした面談を実施いたしました。

よく考えたら,生徒個人面談は当然といえば当然,しかし,大学受験生の塾で保護者面談というものをやるのか,というご意見を(苦笑した生徒から)賜りました。確かに,我々もかつて塾に通っていたころの経験を踏まえると「そんなものはなかった」ように思えて,なかなかこのシステムは生徒さんからすると「ご迷惑」なのではないかとも・・・。

その「ご迷惑」のほどはさておき,ほぼすべての保護者様にご足労いただき,大変有意義な時間を過ごさせていただいたことをまずはお礼申し上げた上で,今回のオープンテストを踏まえた所感について,復習についての気づきを述べておきたいと思います。

【出題の趣旨】
実施科目は,英数国(3科目)。対象は,高1及び高2生(一部中高一貫校含む)で実施しました。
模擬試験とは少々異なり,計算力や基本知識等に加え,現場思考力を測る問題を中心として出題しております。また,時間制限も模擬試験等よりは短めで設定し,「復習」の有無についてもわかるようにして出題をしました。

【結果を踏まえて生徒コメント:ベストヒット4】
「時間があればもっと解けたのに」
「計算ミスをしなければ解けたのに」
「思い出す時間があれば解けたのに」
「一度やった記憶があったのに,解けなかった」

なかなか日頃スルーしてしまっていた抽象的な危機感が,具体的な危険となって現実化したようです。よくある試験タラレバを含め,復習の必要性と日頃新しい知識の「インプット重視」の偏りが,見事に反映された模様です。

この点について,塾内通信でも述べさせていただいたことを再掲しておきます。

 結果を見ますと,日頃復習をしているか否かで大きく結果が分かれています。復習とは,別に何時間もかけてやる必要はありません。学校の50分の授業で扱える内容は問題集にしても数問程度。塾で扱う内容もテーマを決めて効率よく授業をしておりますので,それほど1回当たりの量は膨大にはなっていません。しかるに,その内容を一度,見直すだけでもいい,ほんの数分ですむこともあるかもしれません。
 興味のないことに対する(=勉強?)人間の忘却曲線は,3日を経ると急速にゼロに収縮するとも言われます。授業で解説を受けて,「あ,そうか」という気づきは誰しもあるはずです。せっかくのその貴重な体験を,上述のとおり,1日の量にしてみれば,それほどでもないものを,そのまま忘却曲線に乗せ,2週間,1ヶ月…と積み重ねてしまえば,いわゆる「試験前2週間」に地獄となることは味わったことがある人も多いと思います。それが大学受験という舞台ではどうなるでしょうか。想像してみてください。
 人間ですから忘れることは悪いことではない。しかし,ゼロに近いところから始めるよりは,1度,2度繰り返したもののほうが,やり直すにしても格段に楽なはず。人間の頭は,そういう神経経路になっています。1本の神経が,繰り返しを経ることで,2本,3本と,しかも相互ネットワーク化していきます。ネットワークさえできれば,1本切れてもどこかで修復できる(これを脳の可塑性と呼びます)。高3になってイバラの道を選びたい人以外は,現時点で「ネットワーク」で乗り切るための復習の重要性を認識すべき時が,来ているように思われます。
 復習の仕方,わからなければどうぞ聞いてください。復習こそ,君たちの未来を左右すると言い切ります。切にお願いするところです。(塾内通信10月号)

試験採点直後で,筆の勢いもあったと思いますが,寝かせて熟成させても,その思いは変わりません。試験は,アウトプット。正確な計算力や知識に基づく,制限時間内でのアウトプットです。アウトプットの最大の糧は復習にあります。ここがチャンス,塾の使命は効率の良いインプットはもちろんのことですが,是非復習のノウハウを徹底して学んでもらいたいと思います。

文責 赤星