2013年東大合格者と在塾生の座談会1

本年,当塾から東京大学(理科II類)の栄冠を見事勝ち取った生徒さん(W君)が当塾に訪れ,将来後輩になりたいという塾生(次年度より高校2年のT君)が声をかけ,即席の座談会が開かれました。その際に,塾生を始め,受験生(東大志望者に限らず)の皆さん有益と思われるやりとりを抜粋してここに掲載いたします。是非参考にしてみてください。
長時間に及ぶ座談会になってしまいましたので,2回に分けてお送りします。

第1回は,「2週間で1冊回せ」です。

(塾生T)英語が思うように伸びずに悩んでいますが,今,ネクステージ(桐原書店の英文法問題集)を始めからどんどんこなしています。しかし,一つ一つ丁寧にやっていると膨大な時間がかかって疲れてきました(笑)
(W君)2週間で全部まず回してみることじゃないかな。
(塾生)えっ?2週間でなんてとても終わりませんよ。
(W君)いや,ちまちまとやっていても,先が見えない。まずは,とにかくガンガン1周すること。丁寧にやっているようで,実は無駄が多いことがしばしばある。短期間で,とにかく1周する。知らなかったことや,分からなかったところには復習のために付箋をつけるなどしても,とにかく,ガンガン進めるんだ。
(塾生)それで頭に入るのですか?
(W君)まずは,1周やってみて,テストまたは付箋をつけた部分をもう一度復習するんだ。テストしたら,意外と頭に残っているもんだよ。そうやって,何周もハイスピードで回す。もし,丁寧にやったとして,少しは正答率があがるかもしれないけど,膨大な時間に辟易して,いやいややった場合に,そのかけた時間は本当に有益だったといえるだろうか?もしくは,悲惨なパターンとして,丁寧にやったのに,あまり頭に残っていなかったとか,やることに疲れていやになったとか,そっちのほうがかけた時間は無駄だろう?それよりは,1周目がたとえザルだったとしても,2周,3周でどんどん拾っていけばいい。スピーディにやることで,飽きがこないし,何度も回せて,残るものは多いと思う。
(赤星講師)そうやね。これって世界史とかでも言えることだけど,最初からあまりに丁寧にやり過ぎて,例えば四大文明をこれでもかというほど真剣にやって,ローマ帝国あたりで疲弊して,飽きてやめて。また,やばいと思って四大文明から。しばらくご無沙汰だから四大文明の抜け落ちから完璧主義でやる。そうやって,四大文明マスターは形成されるんだけど,他が致命傷,みたいな・・・(笑)とにかく,通史を一気にやることってのは社会の基本学習姿勢だと思っている。それと同じことだね。
(塾生)じゃ,どのくらい回したんですか?
(W君)8周だね。2週間で。8周やって頭に残らないなら,その問題集は君にふさわしくない,他にふさわしいのがあるからすぐに切り替える。そうやれば無駄はないじゃないか。
(塾生)えー8周もやるんですか!
(W君)周を負う毎に,どんどんかかる時間は短くなる。ネクステージは300頁?とすれば,最後のほうは1時間で回せるぐらいになる。8周でそのレベルに達しなければそれ以上の取り組みは無駄だということ。
(赤星講師)そのときは,別のやれ,だね。私も,受験生時代は,ホントに英語で苦労して,学部生時代にもういちど院試のために英語が必要になったとき,1週間で1冊仕上げ,それでダメなところを徹底して毎日つぶして,10日間ぐらいで一気に力をつけた記憶ある。集中してやっている10日間は,その問題集に疑問を持たずにとにかく信頼してやった。あとで教育的見地から,この問題集はあーだこーだ文句つけたい部分はあったにしても,まずは目の前のパートナーを全面的に信頼する,スポンジのような振る舞い,というか謙虚さは大事だよね。どんな問題集だって,売れているのであれば,それなりの信頼性はあるということだから。
(W君)そうですね。これ,どんな科目でも同じだと思いますね。特に,高2ともなれば,そこで東大に合格できるかは決まる。その間に,どれだけそういう資産を築きあげていくかでしょう。8周した問題集は,間違いなく脳細胞になりますよ。

(赤星講師)というわけで,じゃあT君,ネクステ来週までね。

・・・・赤星講師の事後談。
詰め込みは悪だ,という論調がありますが,学習の基本はまず,詰め込みだと思います。
かけ算の九九を闇雲にでも暗記できたように,なんらかの学問に接する上で,最低限の知識を詰め込んでおくことは,土台を築く上で大変重要なこと。W君の手法は,そのためのスパルタ戦法の一つでしょう。でも,このくらいのガッツがあったほうが頼もしい。
もちろん,大学受験のレベルになれば,単なる闇雲はまずい。しかるべき指導を仰いで,そのもとでやるのがもっとも効率よく成果が上がると言える。無駄なものを2週間8周してもまずい。その辺,どんどん相談してもらいたいですね。最後に,それをやり遂げるかどうかはあなたの精神力ですけれど。