2019年度入試の傾向について
2019年度入試の総括と平行して、とりわけ2018年度入試から続く近年の傾向について、西荻塾としての分析を掲載します。
センター利用入試の厳しさ
これは、後に述べるGMARCH・首都大や中堅私大の上昇傾向にも関連しますが、2018年・2019年両年は激しいセンター利用入試となりました。2017年より以前ですと、3~4科目センター利用入試であれば、70~78%レンジが中堅私大、78~86%がMARCH、というラインで推移しており、感覚的には、75%あれば中堅私大、83%あればMARCHの1つに合格がもらえそうだ、というところで実際に合格者が出ておりました。
2018年は国語の易化も手伝ったか、その相場の2~3%増しで、それは平均点で説明がなんとかつくのか、というところ。
しかし、2019年度入試はそれに追い打ちをかける形でさらに狭き門となりました。
実際、今年の西荻塾受験生のデータによると、
8割台で中堅私大不合格、85%台では軒並みMARCHは不合格。88%超えた者が立教大に不合格という結果。各予備校のリサーチ調査でも、日東駒専でも8割を超えないと合格推定(A判定)が出ないという推計になっています。
2018年、急激にGMARCHが狭き門となり、浪人生が増えたと話題になりましたが、2019年はセンター利用入試において狭き門どころか超難関に匹敵する厳しい傾向となりました。
それこそ、英語(換算200点満点)・国語(200点満点)・社会科または数学(100点満点)の3科目型では、9割を超えないと明治や立教は安全とは言えない、ということになります。9割のラインとは、上記三科目であれば、(180、180、90)となりますが、国語の設問1つミスをすることで最大8点の減点、英語であれば最大6点の減点となるような試験です。
そうなると、3科目ほぼノーミスクリアという非常に高いハードルとなってしまいます。とりわけ、国語については、満点を取るのが非常に難しい性質の科目でありながら、8点の設問が多く、3問間違うと180点を切ることもありうるわけです。近年、国語がやや易化傾向にあるとはいえ、時間制限は変わらずキツく、なかなかノーミスとはいかないと思います。
ノーミスクリアを要求される試験とは、大学入試を除けば種々あるのかもしれませんが、少なくとも、センター試験のボリュームでノーミスクリアを要求するのはかなり酷な事態です。センター利用入試導入大学に責任はありませんが、科目限定型のセンター利用入試については、大学が求めている受験生レベルと合否基準に明らかに乖離があるように思います。(語弊を恐れずに思い切って言うならば、ですが)そうであるなら、もはやこのシステムは入学者選抜のシステムとしては破綻しています。
例えば、一般入試でセンター試験7割前後のレベルの学生が合格しうるA大学があるとして、センター利用入試では8割以上で切る、という乖離が存在していると仮定します。そのA大学にセンター合格した受験生は、きっと上位の大学に一般入試で合格する可能性が高いと思いますから、センター利用合格者が入学する可能性は少ない。センター利用の入学金納付日は一般入試よりも前倒しされていることが多いですから、とりあえずの滑り止めとして入金はされるでしょう。
結果的に、その受験生が上位大学に合格した場合は、受験料と入学金は回収されます。そして、A大学のレベルであれば、一般入試でもかなり受験生を集めますので、入学者が確保できないということもない。
(ここでもさらに語弊を恐れずにいえば、)どうも、この破綻したシステム=センター利用入試は、その名において、導入大学の増益システムに成り下がっているように思います。
大学に責任も悪意もないのは無論です(たぶん)。
もともと、センター試験は国公立1次試験としての機能を有するものです。センター利用入試が邪道だったのかもしれません。したがって、2020年限定の話にはなりますが、私大専願者は、センター利用入試をアテにすることなく、腰を落ち着けて一般入試に挑むべきでしょう。受験戦略として、1回の試験で、受験料を抑えながら複数の滑り止めを取りに行く、ということはもはや期待できません。
GMARCH・首都大の厳しさ
2018年より続く実感として、GMARCHは本当に厳しくなっています。入試問題の質やレベル、量はずっと変わらないのですが、17年以前にボーダーとされていたものより素点でプラス5~10%くらい上乗せして得点しなければ合格できない印象です。
そうはいっても合格最低点は変わらないじゃないかと言われることにあらかじめ反論しておくと、
合否判定は素点ではなく、選択科目間の有利不利に鑑みて、標準化(例えば偏差値換算法)されたものであることが多いので、受験者の平均点が上がってもそれにさほど左右はされません。
よって、合格最低点と実際に必要とされる素点の差を意識した上で、各科目プラス1~2問を追加で正解するようなことを意識しておく。さらに、GMARCHの試験問題は難問奇問はそう多くないから、高得点勝負となります。ミスを極力減らすことは無論ながら、基礎の徹底が勝敗を分けると思います。早慶上智受験者でも、気を抜くと落ちます。
かつては、早慶上智で勝負になる受験生は、「GMARCHくらいは抑えられるだろ」みたいな感じはありましたが、そうはいえなくなりました。問題の質も違うので、一応の対策はしておいたほうがいいのかもしれません(直前ではなく、それこそ半年前などにケリをつけておく)。
とりわけ、明治と立教は非常に厳しい戦いとなっている、という実感です。2019年入試で実際に合格を勝ち取った者の手応えを聞いていると、「9割は行けたと思う。これで落ちたら何も言えない」という者は合格しています。逆に「うーん、7割くらいかな、もうちょっと取れたかな」という者は厳しい結果となっています。「もうちょっと取れたかな」と事後に言うのではなく、事前にそれを取れるように確実に潰しておかなければならないのです。
(以降、執筆中)
・中堅私大の上昇傾向
・芝浦工大・明治学院・武蔵大の躍進
・日東駒専も上昇