2017年度東京大学入試分析(解答速報あり)

2017年度の東大入試の当塾分析をお伝えします。

●数学(文科) 問題はこちら
解答速報・設問別コメント
今年の東大入試も、昨年に引き続き、素直な出題が多かった。地道に努力していれば、40~50点以上は確実に得点できる。うらを返せば、数学と真剣に対峙しないものは、容赦なく数学だけで落ちる。かつての東大のイメージとはずいぶん変わり、40点とれれば御の字というのではなく、40点以上とらなければ足を引っ張る。設問別のコメントは、解答速報のファイルをご参照いただきたい。

●数学(理科)※西荻塾の解答は,TeX入力が追いついていません。
総合的には,数学IIIの抽象的な微積計算の割合が少なく,ややIAIIBによった内容となっている。複素数は単独の出題となっており,過去東大では頻出の分野であったことからすると,抜かりない対策が求められるといえる。例年に比すると,計算量もそれほど多くはないので,半分をとることは難しくない。文系と同様,基本に忠実に,かつ,計算をさぼらずに,着々と手垢にまみれた問題を繰り返し演習し,基礎を積み上げることが重要である。
【第1問】文系の問題で出題されてもよいレベルの三角関数と二次関数の問題。一見すると,g(θ)が大変そうだが,正しく計算すれば,二次関数で片付く問題である。二次関数のやや入り組んだ計算に負けなければ完答できる。
【第2問】文系と共通の設定であるが,(2)で原点に戻る確率が追加されている。(1)と異なり,一般化するのが難しいが,腹をくくって調べても,6秒なのでそれほど大変ではない。手を動かして処理するのが実戦的かもしれない。
【第3問】複素数で単独の出題。過去旧旧課程で出題されていたころに比べるとずいぶん穏当である。まったくの目新しい分野ではなく,過去に頻出だった複素数平面の分野で,良問の集積は多いのできちんと演習を積んでおけば問題なく処理できる。(1)は常識レベルの変形であり,(2)も1の三乗根が題材となっており,とっつきにくさは感じられない。もっとも,複素数平面で経験値が薄いと,困ってしまう。それでも,x+yiとして処理する最終奥義で計算で乗り切ることもできる。
【第4問】文系と同じ。
【第5問】二次曲線の問題であるが,いずれも放物線を題材としているため,判別式一本でも処理が可能である。ただし,計算がそれなりに煩雑であるため,丁寧かつ迅速に処理する能力が要求される。
【第6問】空間で正三角形を回転させるものになっているが,切り口を正しく把握するのに手間取るかもしれない。やや面倒な計算が要求されるため,この設問で差がつく。

●英語
全体的な難易度の変化なし。
【第1問】
A 「要旨をまとめ」る問い。問題文語数は増えたものの論旨が明快であり,キーワード
が拾いやすい。解答の字数も70 ~ 80 字のため具体的な例を差し挟む余地はなく,比較的
取り組みやすかったのではないか。
B 文補充と空所補充。文補充については選択肢を把握した上で,補充部分の含まれる段
落やその直後を読み取れればよい。空所補充は前後の内容から「違反」にあたる単語であ
るのはわかるはず。
【第2問】
A 書く内容は定めやすいが,60 ~ 80 語の語数で具体的に説明するのはそれほど簡単で
はない。
B 問題文が短く簡潔てあるので取りかかるのに時間はかからない。A 同様に柔軟な発想
を求められているので,この点に対する慣れることと,それに伴う余裕を持てるかも重要。
【第3問】
A 放送文は難しいのではなく,解答の選択肢も比較的に素直。(10)がややわかりにくい
か。
B 選択肢の言い換えを捉えられたかがポイント。特に(12),(13)。
C 放送文,解答の選択肢ともに標準的。
【第4問】
A 正誤問題。文章量が増加し,ある程度内容を把握する必要があるのでしんどい問いと
なっただろう。(24)を除くと標準的な文法・語法を扱ってはいるので,なんとか最小限の
失点で抑えたい。
B 英文和訳。意味のよく似た二つの単語をきちんと訳し分けできるかが最初の鍵。指示
語の内容はいずれも下線部内またはその直前にあるので原則通り確認できれば,(ウ)が動
詞deny とsee に関わる部分がやや難しいかもしれないが,構文そのものはそれほど複雑
ではないので手早く片付けられる。
【第5問】
物語的要素の強い随筆。論説にはない展開のリズムで決して読みやすくはないが,大筋の
把握はできるだろう。(B),(D)のイとウは落としたくない。(A)の空所補充はやや難し
い。いわれてみればそうなのだが,文法的に単数/複数にとらわれると手が止まる。(C)
はsocial moments を他人と話をする場面であると特定できれば,下線部とは離れた本文前
半にそれに当たる内容を特定できる。(D)のアは難しい。特に(26)はここまで訳語を把握
している受験者はわずかだろう。(29)(30)も明快に意味がとれる箇所ではないのでしんど
い。

各問いについては改めてもう少し突っ込んだ分析を掲載します。