英語は早く仕上げましょう。
10月も終わり,少しずつ寒くなってきました。数日すれば街中はオレンジ色から赤色に衣替えとなります。さすがにこの時期になると半袖は着られませんね。
さておき,当塾ではこの時期になると各学年が次の学年を視野に入れた学習に入ります。今回は英語の話をメインに据えますが,当塾の英語の授業内容に少し触れると,高校1年生は文法などの知識のまとめに入り,高校3年生は入試問題を中心とした内容に。一つ飛ばしましたが,高校2年生は本格的に入試レベルの読解問題に入っていくことになります。
■「単語がわかれれば長文が読める」
ここでは,本格的に受験態勢に入る高校二年生の話を中心に扱っていこうと思います。すでに進みの早いクラスでは夏前から入試問題を扱っており,見出しは生徒たちの一部がここ最近漏らしている感想です。よくある話です。
実際,内容を大掴みするというのであれば,長文の読解においては語彙量が豊富であることがとても大きなメリットになります。語彙が増えれば,以前は虫食いのように穴ぼこだらけだった英文が,次第に意味を成して頭に入ってくるようになるのですから。センター試験レベルであれば,単語帳の「センター必須レベル」の章立てまでしっかり意味を把握しておけば70%前後の得点は見込めるでしょう。この数字は,今後発展的な力を身につける上ではベースとなる得点率です。
こうした話を添えつつ,「あたりまえだけど,単語が分かれば,ずいぶん読めるようになるよ。」と返すのですが,その瞬間「単語だけ覚えるなら,後でもいいかな。」と心のどこかで思ったような表情を浮かべる生徒がちらほら出てくるのです。すかさず,私は「いつまでに単語を覚えきろうか。」という話を次に繰り出すことになります。理由は大きく二つほど。
■英語は他の教科・科目より早く仕上げなければならない
見出しは一つ目の理由です。英語は「文の作り」という点では中学で八割程度終了しており,高校一年でそのほとんどが終了します。したがって他の教科・科目と比べると入試の基礎知識は早い段階で学び終えることになります。つまり,それらを「きちんと身につける」ことができれば高校二年生段階から入試レベルのトレーニングを積むことができるのです。
では,英語のこの特性をどう捉えるべきか。それは,一通りの学習を終えるのに比較的時間を要する他の教科・科目の学習に忙殺される前に,つまり高校3年生になる前に,英語は入試レベルの力をつけておかなければならない,ということです。
実際,多くの生徒は3年生になると,英語だけでなく理科,社会などに多く時間を取られるようになり,たいていの場合は英語の学習時間が圧縮されていきます(実際はもう少し複雑なころがありますが)。この流れ自体は自然です。ですから,英語のこうした教科特性を踏まえて学習ペースをきちんと確立した生徒が,高校2年の1月段階で,センター試験9割得程度の得点まで伸ばしたとしても特別驚くことではありません。むしろ同じ時期に平均点(6割ほど)に満たない程度の結果であれば,その生徒は相当の危機感を持たなければなりません。
英語は早く仕上げる。これは志望校合格までの流れを俯瞰したとき,不可欠な要素なのです。
■「単語が分かるようになったのに,長文が読めなくなった」
そしてここから二つ目の理由について。見出しは,力を伸ばしはじめて3ヶ月程度の生徒から上がってくる感想です。
学習を進めて,語彙量で目に見える成果のある生徒が,身につけた知識量に比例して得点力が上がるかというと,大抵の場合はどこかで落ち込みが出ます。では,落ちこんだままかというとそうではなく,その後上がったまだ下がり,再び上がる波を何度か繰り返すことが多いのです。それはなぜか。
知識量が増えたからといって,それだけ分からない部分が減るかというと,そう単純な話ではなく,分かる部分が増えただけにかえって細かい部分が気になり始めます。以前は気にしていなかった点が,意味を取る上で吟味する対象となり,迷いが生ずるのです。この兆候自体は力がつきつつある証拠だといえますが,得点力として目に見える形に変えていくにはさらなるトレーニングが必要になります。
単語の暗記は,スポーツで言うところの基礎練習の一つです。それらを適切に使いこなすためには試合のような実戦形式が必要となりますが,英語もそれは同じ。英文を読む中で単語を早く正確に使いこなす経験を積み,得点力を安定させていくことが必要なのです。(では,その具体的方法は?という話になるかと思いますが,そこは次回以降に譲りたいと思います)。
■来年の1月を一つの区切りに
ということで,当塾高2クラスでは,2ヶ月あまり後のセンター同日体験を一つの区切りに秋冬の授業を進めて行きます。上述の理由から英語で「貯金」を作ることが第一の目標ですが,まだそれ以前の段階で,これまでの学習に十分といえなかった生徒については,得点という結果を出すにはいかほどの努力が必要であるかを知る2ヶ月になります。その感触を得ることができれば,受験生になることができます。その最後のチャンスがいまです。
文責:伊藤